はじめに:海外展開の資金調達という課題

自社の製品やサービスを海外市場へ展開することは、多くの事業者にとって重要な成長戦略です。しかし、海外市場の調査、現地仕様の製品開発、プロモーション活動などには多額の初期投資が必要となり、特に中小企業にとっては大きな資金的ハードルとなります。\n\nこのような課題を解決する一助となるのが、国や公的機関が提供する海外展開・輸出関連の補助金です。本記事では、特に中小企業の海外販路開拓支援を目的とした代表的な補助金である「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」に焦点を当て、その概要と申請における実務的なポイントを解説します。\n\n

「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」の概要

「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」は、複数の中小企業者が連携し、自社の持つ優れた素材や技術等を活かして、世界に通用する新しい商品・サービスの開発やブランディング、海外販路開拓を行う取り組みを支援する制度です。経済産業省・中小企業庁が所管しており、例年公募が行われています。\n\nこの補助金の最大の特徴は、単独での申請ではなく、複数の事業者による「連携体」での申請が基本となる点です。それぞれの強みを持ち寄ることで、より付加価値の高い事業計画を策定し、海外市場での成功確度を高めることを目的としています。\n

補助金の詳細(令和7年度公募の想定)

※以下は過去の公募情報や例年の傾向に基づく内容です。実際の公募時には、必ず最新の公式公募要領をご確認ください。\n

補助上限額・補助率

  • 補助上限額: 500万円(海外展開支援の場合)
  • 補助率: 補助対象経費の3分の2以内

対象者

  • 日本国内に本社を有する中小企業者
  • 複数の中小企業者等で構成される連携体(商工会議所、組合、NPO法人等も参画可能)

対象事業

連携体で取り組む、以下のいずれかまたは複数の事業が対象となります。

  • 新商品・新サービスの開発

  • 新たなブランドコンセプトの確立

  • 海外の展示会への出展

  • ECサイトの構築・改修(越境EC)

  • 現地でのテストマーケティング

  • プロモーション動画やパンフレットの制作

対象経費の例

  • 旅費(海外渡航費、国内移動費)

  • 専門家経費(コンサルタントへの謝金、通訳・翻訳費用)

  • 開発費(原材料費、機械装置等費)

  • 広報費(広告掲載費、印刷製本費)

  • 展示会等出展費(出展小間料、装飾費)

公募期間・締切日

例年、春頃に公募が開始され、1ヶ月程度の申請期間が設けられます。令和7年度(2025年度)事業についても同様のスケジュールが想定されます。

  • 想定締切: 2026年5月頃
  • 注意: これはあくまで過去の傾向からの予測です。正確な日程は中小企業庁の公式サイトで必ず確認してください。\n

申請時の重要ポイントと注意点

不採択を避け、採択の可能性を高めるためには、以下のポイントを意識した事業計画の策定が不可欠です。\n

ポイント1:戦略的な連携体の構築

審査では「なぜこの連携体でなければならないのか」という点が厳しく評価されます。単に事業者を寄せ集めるのではなく、商品開発、デザイン、マーケティング、海外販路の知見など、各者が明確な役割を担い、相互に補完し合える戦略的なチームを組成することが重要です。事業計画書には、各事業者の役割分担と連携による相乗効果を具体的に記載する必要があります。\n

ポイント2:明確なターゲット市場と事業の具体性

「海外」と漠然と捉えるのではなく、どの国の、どのような顧客層に、何を届けたいのかを明確にする必要があります。市場調査に基づいた客観的なデータを用いて、事業の実現可能性と将来性を示すことが求められます。また、補助事業期間内に達成すべき具体的な数値目標(売上高、成約件数など)を設定し、その達成に向けた行動計画を詳細に記述してください。\n

ポイント3:補助対象経費の妥当性

計上する経費が、事業目的の達成に真に必要不可欠なものであることを説明できなければなりません。過大な経費や、事業との関連性が薄い経費は補助対象外と判断されるだけでなく、計画全体の妥当性も疑われる原因となります。公募要領の対象経費一覧を熟読し、積算根拠を明確にして計上しましょう。\n

よくある不採択の理由

  • 連携の必要性や相乗効果が不明確

  • 事業計画が抽象的で、市場分析が不十分

  • 既存事業の単なる延長線上にあり、新規性や革新性に乏しい

  • 補助金に頼りきった資金計画で、自己資金の裏付けが弱い\n

申請手続きと公式情報

申請は、原則として政府の電子申請システム「Jグランツ」を通じて行われます。GビズIDプライムアカウントの取得には数週間かかる場合があるため、公募開始を見越して早めに準備を進めることを推奨します。\n 最新の公募要領や詳細な情報については、必ず以下の公式サイトをご確認ください。\n

まとめ

海外展開・輸出を目的とした補助金は、適切な準備と戦略的な事業計画があれば、中小企業にとって非常に強力な支援となります。「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」を活用する際は、連携体の構築と事業計画の具体化が成功の鍵です。公募要領を深く読み込み、自社の強みを活かした計画を策定してください。